歯科口腔外科の外来取材や、SNS・コミュニティサイト(知恵袋など)に寄せられる切実な相談を精査すると、患者が陥りやすい共通のパターンが浮かび上がってきます。
「朝起きて舌が真っ白になっていたので、汚いと思って歯ブラシでゴシゴシ擦り落とした。翌日、舌全体から血が滲んで激痛で水も飲めなくなった」「口内炎用の市販ステロイド軟膏を塗り続けたら、範囲が口いっぱいに広がって悪化した」といった体験談は極めて典型的な失敗例です。
とりわけ見落としの温床となっているのが、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療で用いられる吸入ステロイド薬です。吸入後に口腔内のうがい(含嗽)が不十分だと、ステロイドの局所的な免疫抑制作用によって口腔内の常在菌バランスが崩れ、カンジダ菌が爆発的に増殖します。医療関係者の証言によると、「喘息患者が喉のイガイガ感や舌の荒れを風邪や乾燥のせいだと思い込み、数カ月間カンジダを放置していたケースは日常茶飯事」と指摘されています。
さらに高齢者層においては、入れ歯(義歯)の裏側がカンジダ菌の温床になる事例が後を絶ちません。アクリルレジンの微細な気孔に菌糸が入り込み、義歯性口内炎を引き起こします。「入れ歯が合わなくなった」と訴えて歯科を受診した結果、実はカンジダ感染による粘膜の腫れが原因だったという事例は臨床現場の定番です。