物語の第1話から登場するぼたんは、自らを「霊界案内人」、俗に言う「死神」であると屈託のない笑顔で名乗ります。読者や視聴者の多くが抱く「死神=黒装束に大鎌を構えた不気味な骸骨」というイメージをあっさりと裏切るこの造形は、原作者・冨樫義博氏の非凡なメタ視点と逆転の発想から生まれました。
幽遊白書のぼたんの正体は、現世で肉体を失った霊魂を霊界の裁判所へと引率する公務員的存在です。人間界の伝承において「死神」とひとくくりに恐れられてきた存在の実像が、実はシステマチックに運営される霊界機構の窓口業務に過ぎないというアイロニーは、作品全体に漂う都会的でドライなユーモアを象徴しています。
公式の年齢や詳細プロフィールにおいて、実年齢は「霊界時間」で生きているため人間換算での正確な年数は明かされていません。しかし、外見や言動は10代中盤から後半の少女そのものであり、人間界での生活時にはミニスカートやデニムといった当時のトレンディな私服を自在に着こなす順応性の高さを見せています。また、移動手段として常に携えている「櫂(オール)」は、日本や東洋の神話に登場する「三途の川の渡し舟」を漕ぐ道具をルーツに持ちながら、魔女の箒のように跨がって空中を滑空するというハイブリッドなデザインに昇華されています。