20代後半から30代にかけて、彼女は本格的な演技派としての地位を確固たるものにしていった。その決定打となったのが、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)における坂本龍馬の初恋の相手・平井加尾役である。
幕末の動乱期に翻弄されながらも、凛とした気品と芯の強さを失わない女性像を見事に具現化。情感あふれる視線の演技や抑制の利いたセリフ回しは、上質なヒューマンドラマとしての作品の質を一段押し上げた。単なる記号的なヒロイン像を脱ぎ捨て、人間の弱さや業、そして深い慈愛を滲ませるその芝居は、NHKをはじめとする重厚な作品づくりの現場で圧倒的な信頼を勝ち得ることとなった。