本作のクオリティを支えているのは、原作者である福本伸行の圧倒的世界観と、脚本を手掛ける萩原天晴の鋭い人間観察眼だ。作中に登場する大槻のモノローグは、まさに人生の金言の宝庫と言っても過言ではない。「今日だけがんばるんだ……!」といった本編の名言をセルフパロディしつつ、日常のささやかな選択における葛藤を深掘りしていく。
「何を食うかではなく、誰と食うか、どういう気分で食うか」。萩原天晴が紡ぐ言葉の数々は、食生活や休日の過ごし方に悩む現代人の痛所を突く。大槻とともに外出を共にする沼川や石和との掛け合いも絶妙で、中年男性たちの不器用ながらも温かい友情が物語に深い味わいを与えている。