昭和後期から平成初期にかけて、日本のマスメディアは差別的表現の排除に向けた大きな転換期を迎えた。その中心となったのが、NHKや日本民間放送連盟(民放連)が中心となって策定・運用してきた放送用語の自主規制ガイドラインである。公の電波に乗せる言葉として、障害者や特定グループを傷つけるおそれのある単語を慎重に精査する動きが加速した。
俗に放送禁止用語と呼ばれる枠組みは、法律による一律の規制ではなく、メディア側が自発的に設けた倫理基準だ。その一覧において「せむし」は、精神障害や身体障害に関する不快語・差別的表現として禁止指定、あるいは原則使用不可の対象とされた。アナウンサーや番組制作の現場では、生放送中の言い間違いを防ぐための徹底したマニュアル化が進められた。