御幸一也が負傷した直接の引き金は、秋季東京都大会準決勝・成孔学園戦の延長10回表に発生した凄まじい本塁クロスプレーでした。
成孔学園の4番打者であり、巨漢投手としても知られる小川玉利は、荒削りながら桁外れのパワーを誇る選手です。同点で迎えた延長10回表、外野からの返球を受けた御幸に対し、三塁走者の小川はスピードを緩めることなく、まるでダンプカーのように突進。捕手への猛烈な体当たり(いわゆるブロック崩し)を仕掛けました。
御幸は強烈な衝撃でグラウンドに叩きつけられながらも、ボールを一切こぼさずタッチアウトを奪います。しかし、小川の巨体と膝が御幸の左側胸部から脇腹へダイレクトに激突したことで、身体の深部に致命的なダメージを負うことになりました。
一部のファンの間では「肋骨が完全に折れていたのでは」と語られるケースも見受けられますが、公式な診断結果は「脇腹の筋肉損傷および肋骨のヒビ(不全骨折)」です。完全な骨折(転位を伴う骨折)であれば、激痛と呼吸困難によりバットを振ることすら物理的に不可能となります。ヒビであったからこそ、強靭な精神力とテーピングによる固定で数日間を耐え凌ぐことができたといえます。それでも、投球を受けるたび、スイングのたびに患部に激痛が走る極限状態であったことは間違いありません。