「全身脱毛を8回受けたのに、背中と顔の毛が一向になくならない」というトラブルは、脱毛現場で日常茶飯事のように発生しています。これには明確な物理的根拠があります。
従来の熱破壊式(高出力レーザーを単発照射)は、毛の黒いメラニン色素に急激な熱を与えて毛乳頭を破壊します。しかし、顔や背中の産毛にはメラニン色素が極めて微量しか含まれていません。レーザー光が十分に熱へと変換されず、毛根に十分なダメージを与えられないまま照射が終わってしまうのです。それどころか、中途半端な熱刺激によって休止期の毛が活性化し、逆に毛が太くなる「硬毛化・増毛化」を引き起こすリスクすら孕んでいます。
これに対し、低出力のレーザーを連続照射して皮下のバルジ領域に熱を蓄積させる蓄熱式脱毛器は、メラニン量に依存しにくいため産毛に対して一定の有効性を示します。しかし、蓄熱式は施術者のハンドピースの動かし方や重ね打ちの技術によって蓄熱温度にブレが生じやすく、照射技術が未熟なクリニックでは出力不足で毛が抜け落ちないという別の弊害も起きています。
さらに、効果を大きく左右するのが照射間隔と毛周期の管理です。予約が取れないクリニックで照射間隔が半年以上空いてしまうのは論外ですが、逆に「早く終わらせたいから」と1ヶ月おきに照射するのも逆効果です。成長期の毛が生え揃っていない状態でいくらレーザーを当てても、エネルギーは空振りし、肌に無駄な負担をかけるだけに終わります。身体の部位にもよりますが、回数を重ねるごとに毛が生え揃うペースは遅くなるため、後半は2〜3ヶ月、あるいは3〜4ヶ月の適切な間隔を空けて照射することが効率的な脱毛の絶対条件です。