ネット上やファンのコミュニティでは長年、「人造人間19号のモデルは実在したレッドリボン軍の幹部や科学者ではないか」という憶測が飛び交ってきました。しかし、集英社が刊行した公式ガイド本『ドラゴンボール超全集2』や各種設定資料集の記述によると、人造人間19号の正体は人間ベースのサイボーグではなく、ゼロから組み上げられた完全な全人工型ロボットです。
その外見の元ネタ・モデルについて、公式には「ドクター・ゲロがかつて敵の基地から戦利品として持ち帰った愛らしい人形」をベースに造形されたと明記されています。丸みを帯びた肥満体型、青白い陶器のような肌、中国の清朝の官吏(キョンシー)を彷彿とさせる装束と帽子という異様なデザインは、かつてゲロが手に入れたアンティークの調度品や偶像に由来していたのです。
なぜ天才科学者ドクター・ゲロは、自立思考を持つ人間を素体にせず、あえてこの造形を選び、完全な機械として製作したのでしょうか。その根底には、先行して開発された人造人間17号・18号に対する強烈なトラウマが存在していました。17号と18号は人間の不良少年少女をベースにしたため、あまりにも自我が強く、生みの親であるゲロの命令を平然と無視し、反抗的な態度を取り続けました。命の危機すら感じたゲロは、強大すぎる戦闘力よりも「絶対に自分を裏切らない忠誠心」を最優先事項として開発方針を180度転換したのです。
さらに重要な目的が、ドクター・ゲロ自身のサイボーグ化手術でした。ゲロは老い先短い肉体を捨て、自らを「人造人間20号」へと改造するにあたり、自身の脳を摘出して機械のボディへ移植する極めて緻密かつ高度な外科手術を任せられる、狂いのない従順な助手を必要としていました。その重大な使命を託された唯一無二のパートナーこそが、この19号だったのです。