多くの利用者が抱いた最大の疑問が、「客入りは決して悪くなかったのに、なぜ撤退せざるを得なかったのか」という点です。表面的には常に賑わっているように見えた同館ですが、その内情を紐解くと、全国の温浴業界を揺るがせた深刻なコスト構造の急変が浮かび上がってきます。
閉館の決定打となった主因は、世界的な原油高や為替変動に起因する電気・ガス・重油代などのエネルギーコスト高騰です。巨大な浴槽を常に適温で保温し、大量のシャワー用温水を沸かし続けるスーパー銭湯のビジネスモデルは、光熱費の急増に対して極めて脆弱です。2022年以降のエネルギー価格上昇は、従来の入館料収入モデルでは到底吸収しきれない水準に達していました。
さらに追い討ちをかけたのが、オープンから17年近くが経過していた配管・ろ過装置・ボイラーなど中枢設備の老朽化です。これらを刷新するには数千万円から億円単位の大規模修繕投資が避けられず、コロナ禍で蓄積した経営体力の消耗も重なり、今後の投資回収が見込めないと判断されたことが、苦渋の完全閉館へと踏み切った最大の真相でした。