シロギスの味覚を語る上で見落とせないのが、「年に2回訪れる旬の山」です。一般的には「キスの旬は初夏」と認知されていますが、専門家や熱心な釣り人の間では秋深まる時期の個体も最高峰として評価されています。
第1の旬は、産卵期を迎えて沿岸の浅場に大挙して接岸する6月〜8月(初夏〜盛夏)です。砂浜からの投釣りや防波堤からの「ちょい投げ」で初心者でも手軽に釣果を上げられる時期であり、水温上昇とともに活性が上がります。この時期の身は柔らかく瑞々しい水分に満ちており、涼やかな味わいを楽しめます。
第2の旬は、水温低下とともに越冬のため深場へ落ちる準備を始める10月〜11月(晩秋)です。釣りの世界で「落ちギス」と呼ばれるこの時期の個体は、越冬に向けて栄養を蓄えるため身が丸々と太り、25cmを超える「肘叩き(ひじたたき=暴れて肘を叩くほど大型)」と呼ばれる大型が狙えます。水分が適度に抜け、アミノ酸の密度が増しているため、刺身や昆布締めで食すには晩秋の落ちギスが圧倒的な旨味を誇ります。