解体説が広まった最大のトリガーは、写真愛好家やクリエイターの間で親しまれていた「富士フイルム名古屋サービスステーション」の営業終了および機能移転です。
かつてビル内には、デジタルカメラ「Xシリーズ」や交換レンズのメンテナンス、修理受付、タッチ&トライができるショールームが併設されていました。週末になると多くのカメラファンが集い、機材の相談やセンサークリーニングを依頼する「ファンコミュニティの聖地」としての性格を帯びていたのです。しかし、富士フイルムは国内サービス網のデジタルシフトと効率化を推進。対面窓口を東京・大阪などの拠点へ集約し、オンラインでの修理受付・集配体制を強化した結果、名古屋の一般向けサービスステーション窓口はクローズされることとなりました。
この一般向けショールーム機能の停止が、一般ユーザーやSNS上で「富士フイルムが名古屋拠点を引き払った」「ビルを売却して撤退したのではないか」という誤った推測を生む直接の火種となりました。
さらに、グループ再編もこの憶測に拍車をかけました。事務機器大手の旧富士ゼロックスが「富士フイルムビジネスイノベーション」へと商号変更し、愛知エリアを統括する富士フイルムビジネスイノベーションジャパン愛知などの各拠点が集約・最適化される過程で、事業所の統廃合が相次ぎました。富士フイルム中部支社管内の営業機能や「富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社」などの関連部門の配置転換が進んだことで、「ビルの用途が大きく変わった=解体や再開発が始まる」という憶測が独り歩きしていったのが真相です。