運命の歯車が狂ったのは、2014年6月30日付の神戸新聞によるスクープ記事でした。野々村氏が2013年度に計195回の日帰り出張を行い、約300万円の政務活動費(旧・政務調査費)を計上していながら、収支報告書に領収書や視察報告書が一切添付されていない事実が白日の下に晒されたのです。
特筆すべきは、兵庫県北部の城崎温泉へ年間106回、佐用町へ62回など、到底物理的に不可能な頻度で特定地域への出張を繰り返していた点でした。さらに、特急グリーン車の往復運賃を毎回正確に計上しながら、現地での宿泊記録や面談記録、活動レポートは皆無でした。
疑惑を晴らすべく、2014年7月1日夕刻、兵庫県議会内で開かれた緊急記者会見は、日本の政治史に刻まれる怪異な幕開けとなりました。冒頭こそ平身低頭にメモを読み上げていた野々村氏でしたが、記者団から「出張の具体的な目的と活動実態」について鋭い追及が入ると、表情は一変しました。
「この日本……世の中を……変えたい! その一心でえぇっ!」「高齢者問題はぁ……我が県のみならずぅ……西宮……日本人の問題やないですかぁ!」と、身体を前後に激しく揺らしながら大声で号哭。マイクに向かって泣き叫び、質問を聞き返す際には手のひらを耳の後ろにかざして記者を凝視する「あのポーズ」を連発しました。約3時間に及んだ会見で客観的な証拠は一点も提出されず、真相を覆い隠すための感情的パニックが世界中に配信される結果となったのです。