大学からの招聘教授オファーは、一見すると名誉な栄誉に思えます。しかし、安易に引き受けることが自身のキャリアにとって本当にプラスになるのか、冷徹に費用対効果(ROI)を見極める必要があります。
大学側の思惑と就任者側のメリットが噛み合わなければ、無給同然の労務と「名義貸し」の消耗戦に陥る危険があるためです。
◎ 招聘教授の就任をおすすめできる人
- 実務のノウハウを体系化・言語化したい経営者・実務家:学生への講義を通じて自らのビジネスモデルを整理し、次世代の優秀な人材との接点(採用パイプライン)を確保したい場合。
- 自身のブランドに公的・知的な信頼性を付加したい専門職:著述業、コンサルタント、文化人など、アカデミアとの連携実績が本業のクライアントワークにおいて大きな信用力となる立場の人。
- 純粋に後進育成への社会貢献意欲が高い引退組・シニアエグゼクティブ:金銭的報酬を求めず、自らの人生経験や失敗知を還元することに意義を見出せる人。
▲ 就任に慎重になるべき人
- 即座の金銭的リターンや給与収入を期待している人:前述の通り、非常勤枠の招聘教授は無給〜数十万円の謝金ベースが大半であり、講義準備(シラバス作成、スライド推敲、採点業務)にかかる膨大な時間コストを考慮すると時給換算で大幅な赤字になります。
- 大学組織の意思決定に関わり、教育カリキュラムを抜本改革したい人:ガバナンス権限を持たないため、大学の古い体質や保守的な専任教員団の壁に直面し、強い無力感を覚えることになります。
- 本業のスケジュールが過密で、教育活動に時間を割けない人:代講を乱発したり内容の薄い講義を行ったりすると、SNS時代の現代では学生からのリアルな悪評が瞬時に拡散し、築き上げた社会的評価を傷つける結果になりかねません。