「ベタ慣れして肩に乗る姿に憧れたが、実際は流血の毎日」「家具や壁紙がズタズタに破壊された」――インターネット掲示板やSNS、知恵袋には、ミーアキャットを迎えた飼い主たちの生々しい告白が溢れています。見た目の愛らしさだけで突撃した結果、ミーアキャットを飼って後悔した理由として共通して挙げられるのは、野生動物としての強烈な本能への認識不足です。
本種の飼い方と飼育難易度は、一般的な犬や猫、うさぎなどと比較して極めて高レベルに位置付けられます。知能が高く好奇心旺盛である反面、犬のように人間の指示に従う「服従心」は持ち合わせていません。トイレの場所を固定することは非常に難しく、部屋全体に排泄物が撒き散らされることは日常茶飯事です。
さらに深刻なのがミーアキャットの噛み癖の真相です。彼らは肉食寄りの雑食動物であり、サソリや毒蛇の硬い外骨格をも噛み砕く頑丈な顎と鋭い牙を持っています。警戒心の強い個体や、性成熟を迎えてホルモンバランスが変化した個体は、飼い主であっても突如として全力で噛みつくことがあります。甘噛みではなく「本気の攻撃」となった場合、指を貫通して骨に達するほどの深手を負い、救急外来で縫合手術を受ける飼い主も珍しくありません。
一方で、ミーアキャットがなつく理由としつけの構造を正しく理解していれば、深い信頼関係を築くことも可能です。彼らは砂漠で数十頭の群れ(モブ)を形成して生きる極めて社会的な動物です。幼少期から愛情を持って接し、スキンシップを重ねることで、人間を「群れの仲間(リーダー)」と認識します。仲間と認められた相手には、首元にすり寄って喉を鳴らしたり、毛づくろいを要求したりと、無類の愛嬌を見せてくれます。
ただし、その社会性は「群れ以外の部外者(見知らぬ来客や他のペット)に対する激しい攻撃性」と表裏一体です。「家族にはベタ慣れだが、友人や配達員には牙を剥いて威嚇する」という事態はごく普通に発生します。犬のような「誰にでも友好的なしつけ」を期待することは、彼らの防衛本能を無視した危険な誤解と言えます。