スーパードライのCM史を振り返ると、1987年の発売当初から2000年代にかけては、プロゴルファーの青木功、プロ野球の落合博満、俳優の織田裕二、そして長年ブランドの象徴を務めた福山雅治など、「挑戦する男の生き様」を描く演出が中核を担っていました。当時、女性キャストはあくまでサブ的なポジションや、爽やかなアシスタント役に留まるケースが一般的でした。
しかし、2020年代に入ると酒類市場における消費者インサイトは大きく変化します。家飲み需要の定着、若者のアルコール離れ、ジェンダーレスな商品受容が進む中、アサヒビールは「辛口=男性向け」という固定観念からの脱却を図りました。その象徴が、女性同士が気兼ねなく美味しいビールを分かち合うシーンを描いた「生ジョッキ缶」や、仕事とプライベートをスマートに両立させる現代女性を描く「ドライクリスタル」のプロモーションです。
アサヒビール全体の歴史を見渡せば、柴咲コウ、米倉涼子、多部未華子、中条あやみといった主役級女優たちが様々なブランドで起用されてきましたが、基幹ブランドである「スーパードライ」において女性がメインアンバサダーとして主導権を握る構図は、近年のマーケティングにおける最も象徴的なパラダイムシフトと言えます。