時短勤務を選択するにあたり、最も切実な問題が収入の減少です。労働基準法には「働いていない時間分の賃金を支払う義務はない」というノーワーク・ノーペイの原則があるため、時短勤務中の給与は基本的に実労働時間に比例して減額されます。
時短勤務給料減額計算の基本ロジック
多くの企業で採用されている給与減額の計算式は次の通りです。
減額後の基本給 = フルタイム時の基本給 ×(時短勤務の実労働時間 ÷ 通常の所定労働時間)
例えば、所定労働時間が8時間、基本給が月額32万円の従業員が「6時間勤務」を選択した場合、労働時間は4分の3(75%)になります。したがって、減額後の基本給は「32万円 × 6時間 ÷ 8時間 = 24万円」となり、額面上は月々8万円のカットとなります。
額面ほど減らない「時短勤務手取り」のからくりと社会保険料負担
「額面が25%減るなら、手取りも25%減る」と考えがちですが、実際の手取りの減少率は額面よりも緩やかになる傾向があります。その理由は、所得税や住民税の課税所得が下がることで税負担が軽減されるためです。
さらに注目すべきは社会保険料の取り扱いです。時短勤務に入ると、数カ月後の標準報酬月額の改定によって毎月の社会保険料負担も軽くなります。ここで見落としてはならないのが、日本年金機構が設けている「養育期間標準報酬月額特例」の存在です。通常、給料が下がれば将来受け取る厚生年金の受給額も下がりますが、この特例を年金事務所に申請すれば、「子どもが3歳になるまでの間、時短勤務で保険料が下がっても、将来の年金額は出産前の高い給料で支払ったものとして計算する」という強力な恩恵を受けられます。
加えて、雇用保険から支給される「育児時短就労給付」の運用も始まっており、2歳未満の子を育てるために時短勤務を選んだ場合、時短中の賃金に対して一定割合の手当が上乗せ給付される仕組みが整いました。手取り面でのセーフティネットは年々強固になっています。