処方された薬を正しく飲んでいるにもかかわらず、熱が下がらない最大の原因はマクロライド耐性マイコプラズマ肺炎の存在です。長年にわたりマイコプラズマ治療の第一選択薬として広く使われてきたマクロライド系抗生物質に対し、菌の遺伝子が変異して薬剤が結合できなくなる現象が定着しています。
日本国内におけるマクロライド耐性菌の分離率は時期や地域によって変動するものの、依然として高水準で推移しています。過剰な抗菌薬の処方が繰り返された結果、耐性を持つ菌株が生き残り、それが市中に拡散したことが決定的な引き金となりました。
日本マイコプラズマ学会の指針では、抗生物質を開始してから48時間から72時間経過しても解熱傾向がみられない場合、治療薬が効いていない可能性が高いと判定します。単なる「薬の効きが遅い」状態ではなく耐性菌感染を疑い、適切なタイミングで作用機序の異なるセカンドラインの薬剤へ切り替える判断が臨床現場で重視されています。