衝突の危機が迫ってもシステムが介入しない、あるいは予期せぬ場面で誤作動する原因はどこにあるのか。最大の要因は、車両前方に配置された複合センサーが走行環境の急変によって対象物を正確にロストする「認識の遮断」にある。豪雨や猛烈な吹雪、逆光による強いハレーション、夜間の無照明区間などでは、システムが先行車両や歩行者を検知できず、衝突被害軽減ブレーキ(AEBSの作動条件から外れてしまうケースが少なくない。
日本国内市場を牽引する本田技研工業株式会社の主力ラインナップでも、この問題は無縁ではない。ファミリー層から圧倒的な支持を集めるN-BOXをはじめ、都市型SUVのヴェゼル、多人数乗車のステップワゴンといった代表的な量販車種においても、制御プログラムの不具合やミリ波レーダーの検知エラーによるリコール届出が過去に複数回にわたり行われてきた。
特に問題視されたのは、走行中に先行車が存在しないにもかかわらず前照灯の反射や道路脇の構造物を車両と誤認識し、突如として強いブレーキアシストが作動してしまう不具合だ。国土交通省への届け出情報によると、プログラムの書き換えやレーダー軸の再調整(エイミング作業)によって対策が順次講じられているが、ドライバー側も自身の愛車がリコール対象車に該当していないか車台番号をもとに即座に照会する必要がある。