「ものもらいは冷やすべきか、温めるべきか」という疑問は、検索エンジンでも常に上位を争う論点です。この二者択一に対する医療現場の正解は、現在の症状フェーズによって真逆になるという点に尽きます。判断を間違えると、炎症を一気に燃え上がらせてしまうリスクがあります。
現在、まぶたが赤く腫れ、触ると熱を持っていて、脈打つようなズキズキとした痛みがあるなら、患部は急性炎症のピークにあります。この段階で絶対にやってはいけないのが「温めること」です。患部を温めて血流を促進してしまうと、炎症物質が活性化し、腫れと激痛が急激に悪化します。この時期は、清潔な冷水で絞ったタオルや保冷剤を薄手の滅菌ガーゼで包み、軽く患部に当てて適度に冷やすのが正解です。
逆に、強い痛みや赤みがすっかり引き、まぶたの中に「硬いしこり」だけが残っている状態(霰粒腫の慢性期)では、アプローチが180度変わります。マイボーム腺内に固着した皮脂は融点が約32℃〜40℃であるため、この段階では蒸しタオルなどで40℃前後の温熱刺激(温罨法:おんあんぽう)を1回10分程度加えることで、詰まった油分を融解させて排出を促すケアが極めて有効に働きます。