酸ヶ湯温泉を訪れる旅行者の多くが驚く事実が、「ヒバ千人風呂」と「玉の湯」では引いている源泉が根本的に異なるという点です。館内にある複数の自家源泉のうち、千人風呂には「熱湯(ねつゆ)」「四分六分の湯」「鹿の湯」などが注がれていますが、男女別の「玉の湯」には単独の別源泉が引き込まれています。
泉質分類上はいずれも酸性・含硫黄-鉄・アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(酸性硫黄泉)に属し、pH2.0前後の強酸性を示しますが、浴感には際立った差異が存在します。千人風呂の「熱湯」が底から湧き出るやや青みを帯びた透明感のある白濁湯であるのに対し、玉の湯はより濃厚な乳白色で、細かな湯の花が舞うクリーミーな肌触りが特徴です。
成分の絶妙な配合比の違いにより、玉の湯は肌への当たりが比較的柔らかく感じられる傾向にあります。酸性泉特有のピリッとした刺激がありつつも、硫黄成分によるコーティング感が高く、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復に対する優れた療養泉効果をもたらします。千人風呂の圧倒的な開放感とは対照的に、浴槽がコンパクトである分、新鮮な源泉かけ流しの鮮度を肌でダイレクトに体感できる構造となっています。