「尖った物を踏んでいないのに、なぜかパンクした」という経験を持つ人は少なくありません。この現象の背景にある構造的原因こそが、自転車の空気圧不足が引き起こす「リム打ちパンク」と「チューブの擦れ摩耗」です。
歩道から車道へ降りる際やアスファルトの継ぎ目など、道路には数センチ単位の段差が無数に存在します。適正な空気圧が保たれていれば、タイヤ内の空気バネが反発して衝撃を吸収します。しかし、空気が抜けてブヨブヨになったタイヤで段差に突っ込むと、タイヤが完全に押し潰され、車輪の金属の枠(ホイールのリム部分)とアスファルトの角でチューブが強く挟み込まれます。
この衝撃により、チューブの上下に2箇所並んで穴が空く現象を、蛇が噛みついた跡に見立てて「スネークバイト(リム打ちパンク)」と呼びます。この状態になると、小さなパッチを1枚貼る程度の簡易補修では対応できず、チューブ全体の引き裂きや変形を伴うため、チューブ交換(工賃込みで3,000円〜5,000円前後)を余儀なくされます。
さらに見落とされがちなのが、低圧走行による「タイヤ内部でのチューブの擦れ」です。空気が足りない状態でペダルを漕ぎ続けると、タイヤの外殻(ケーシング)と内側のゴムチューブが走行中に絶えずズレ動き、激しい摩擦を起こします。修理のためにタイヤを外すと、チューブの表面がヤスリで削られたように薄くなり、タイヤの内側から大量の黒いゴム粉末が出てくる事例が日常茶飯事です。外部からの刺傷ではなく、自らの走行負荷によって内部からゴムをすり減らし、最終的に破裂(バースト)に至るのです。