大相撲の明日の取組は、決して機械的な巡り合わせで決まるものではありません。そこには審判部による極めて高度な計算と、土俵の熱狂を最大化させるための演出思想が介在しています。通常、毎日の取組は前日の午後1時頃から審判部の審議が始まり、午後3時半から4時前後に日本相撲協会から公式発表されるタイムスケジュールで動いています。
序盤戦(初日から5日前後)は、あらかじめ定められた番付通りの編成が基本となります。横綱や大関が上位前頭の力士と順番に対戦していく形式です。しかし、中盤の中日(8日目)以降になると、この定石が大きく崩されます。これがいわゆる「割崩し(わりくずし)」と呼ばれる伝統的な編成手法です。
割崩しにおいては、番付の上下よりも「その時点で何勝何敗か」という星取が最優先されます。全勝力士や一敗力士といった好調者同士を直接対決させ、優勝争いの輪郭をより鮮明に浮かび上がらせることが審判部の狙いです。同部屋対決や兄弟・親族対決は原則として千秋楽の優勝決定戦を除き組まれないという厳格な内規を守りつつ、土俵が最も白熱するカードを抽出し続ける作業は、相撲を知り尽くした親方衆ならではの職人技といえます。