そもそも、なぜ正月に紙幣を包んで渡すのか。その由来を深く知れば、お札を丁寧に扱うべき理由が自ずと見えてくる。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』でも過去に取り上げられ、NHKオンデマンドで関連回が再視聴されるなど、この年中行事のルーツに対する関心は年々高まっている。
かつてのお年玉は金銭ではなく、年神様の御霊(みたま)が宿った丸い「鏡餅」を家長が家族に分け与えたのが始まりだった。「御年魂(おとしだま)」という語源の通り、新しい年の生きる力と福を授かる神聖な儀礼だったのである。室町時代から江戸時代を経て、武士や商人の間で品物やお金へと変化していった。
つまり、ポチ袋にお札を収めるという行為は、神聖な生命力を手渡す儀式の現代的な変奏曲なのだ。雑に折られたお札や投げやりな手渡しが敬遠されるのは、そうした歴史的背景が無意識のレベルで日本人の美意識に根付いているからにほかならない。