「心配事の9割は起こらない」という言葉の背景には、禅の思想がある。禅では、過去への後悔や未来への不安を「妄想」と呼ぶ。まだ存在しない未来に心を奪われるのではなく、「今、ここ」の呼吸や動作に集中することを説く。
このアプローチは、最新の脳科学における「マインドフルネス」とも完全に一致している。瞑想や呼吸法によって脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の過剰な活動を抑え、疲弊した脳を休ませることができるのだ。お茶を飲むときはその味と温かさに、歩くときは足の裏の感覚に集中する。それだけで、未来への不安は行き場を失う。