訪問時、警察官から手渡されるのが通称「巡回連絡カード」と呼ばれる用紙です。そこには世帯主の氏名、生年月日、電話番号にとどまらず、勤務先、同居親族の家族構成、非常時の連絡先、さらには所有車両のナンバーなどを記入する欄が設けられています。「公的機関から渡された書類だから書く義務がある」と思い込みがちですが、法律上の位置づけは全く異なります。
巡回連絡カードの記入・提出は100%任意です。提出を拒否したとしても、法律違反で検挙されたり過料を科されたりすることは法的根拠上あり得ません。警察官が「規則ですから必ず書いてください」と発言した場合でも、それは行政側の内部規則に過ぎず、市民に対する法的強制力を意味するものではありません。
警察側が家族構成や勤務先を細かく把握したがる最大の理由は、大規模災害時の安否確認や緊急時の身元特定にあります。例えば、地震や水害で家屋が倒壊した際、「この家には高齢者が1名取り残されている可能性がある」「昼間は全員勤務先に出ていて不在」という情報があれば、救助隊の初動活動が劇的に迅速化します。また、一人暮らしの住人が外出先で事故に遭ったり急病で倒れたりした際、身元引受人へ速やかに連絡するためのデータとしても活用されます。