インターネット上のレビューやSNSで時折見受けられるのが、「宮越屋珈琲は値段が高い」という声です。一般的な大手カフェチェーンが1杯400円〜600円程度で提供しているのに対し、宮越屋珈琲のホットコーヒーは標準で1杯800円〜1,200円前後(店舗や豆の品種により変動)となっています。この価格差の裏には、緻密に計算された原価構造と圧倒的な付加価値が存在します。
第一に、使用される生豆のグレードです。標高の高いエリアでじっくり育った大粒の高品質アラビカ種のみを厳選し、芯までじっくりと火を通す深煎り焙煎を行っています。深煎りは焙煎過程で豆の水分が抜け、重量が20%近く減少するため、浅煎りや中煎りに比べて豆の原価率が跳ね上がります。
第二に、店内の建築・インテリア・音響に対する設備投資です。アンティーク調の家具、重厚な一枚板カウンター、数千万円規模のハイエンドオーディオシステム(JBLやタンノイのスピーカー、真空管アンプなど)を導入し、上質な音楽を心地よい音量で響かせています。単なる「水分補給」ではなく、都会の喧騒を離れて思考を整理し、至福の休息を得るための「空間体験代」が含まれていると考えれば、その対価は極めて妥当であると言えます。