矢島美容室の最大の魅力は、母マーガレット、長女ストロベリー、次女ナオミという3人のキャラクターに与えられた緻密なドラマ性だ。「失踪した父親ヤジマを探すために渡日した」という、昼ドラ顔負けの過剰な設定が歌の端々に散りばめられている。フレーズの行間から匂い立つのは、80年代アメリカ文化への憧憬と、それをあえてチープに翻訳してみせる日本独特のパロディ精神だ。
「和洋折衷」をはるかに通り越したカオスな世界観は、今の時代だからこそ新鮮に映る。配慮やコンプライアンスが重視される現代のエンタメシーンにおいて、ここまでの暴走と悪ノリを全力でエンターテインメントへと昇華させた表現は極めて珍しい。それゆえに、現代のリスナーは彼らの破天荒なテキストに心地よい解放感を覚えるのだろう。