流布している言説を丹念に紐解くと、秘密結社としての八咫烏には極めて厳密なピラミッド型の階層構造が設定されています。そのピラミッドは、キリスト教の十二使徒やユダヤの十二支族を想起させる象徴体系によって構築されています。
組織のトップは前述した「大烏(三羽烏)」の3名。彼らは「金鵄(きんし)」とも呼ばれ、三位一体の霊的指導者として裏天皇の機能を果たします。その直下に控えるのが「十二烏(じゅうにからす)」と呼ばれる12名の実務幹部です。この12名が神事、情報、財政、儀礼などの実務を取り仕切り、さらにその周囲に数十名規模の「カラス」と呼ばれる構成員が配置され、全体でも数十名から数百名未満の完全な秘密保持体制を敷いていると語られます。
彼らが担う最大の任務とされるのが、「三種の神器」の防衛と秘儀祭祀です。皇室に伝わる八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣は、一般に公開されることは決してありません。皇居にあるものは「形代(レプリカ)」であり、熱田神宮や伊勢神宮に本体が鎮座しているとされますが、八咫烏伝説では「それらとは別に、四国の剣山や特定の聖域に秘匿された真の神器を八咫烏が護持している」という筋書きが好んで語られます。
ここで、八咫烏にまつわる「都市伝説・オカルト的言説」と、学術研究や公的機関の記録に基づく「客観的史実」を整理・対比してみましょう。