1988年11月から翌年にかけて起きた綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件は、昭和の終わりと平成の幕開けという時代の結び目に落ちた深い影だった。罪のない少女が連れ去られ、長期間にわたる監禁と想像を絶する暴力の末に命を奪われた事実は、日本社会が信じていた「治安の良さ」と「家庭や地域の安全神話」を根底から打ち砕いた。
警視庁による捜査が進み、逮捕された主犯格をはじめとする少年たちの素性や犯行内容が明らかになるにつれ、世間には怒りと絶望が充満した。事件が発覚した現場の異様な空気、周囲の大人たちが異変に気づきながらも警察に通報できなかったという事実は、現代の都市生活における無関心や連帯の喪失を浮き彫りにし、メディアの激しいバッシングを巻き起こした。