松本清張が遺した名作は、過去にも数々の名女優たちによって映像化されてきた。しかし、テレビ朝日が新たに提示した本作は、旧来の愛憎劇にとどまらないスリリングなテンポ感と、極上のエンターテインメント性を兼ね備えた不朽のピカレスクロマンとして結実している。
罪を犯す悪人を主役に据えながらも、視聴者が思わずその悪女を応援してしまう絶妙なドラマチックさ。巨匠の古典小説が持つ重厚な骨組みを守りつつ、現代社会の格差や歪みを映し出す鏡としてアップデートした演出は見事というほかない。日本のテレビドラマ史における悪女ものの決定版として、後続の作品群にも絶大な影響を与えた。