ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「黒手袋をしていればネイルは一切隠さなくて大丈夫」「絆創膏を巻けば怪我に見えるから失礼にあたらない」といった言説が見受けられます。しかし、葬儀の実務現場においてこれらを過信することは重大なマナー違反のリスクを孕んでいます。
まず、喪服に合わせる黒手袋(レース手袋や布製フォーマルグローブ)は、洋装の喪服における正式な装飾品として認められています。しかし、「ご焼香の際には手袋を外す」のが仏教儀礼における本来の作法です。素手で清らかな心を表し、お香をつまむのが正しい礼儀とされているため、焼香台の前で手袋を外した瞬間に派手なネイルが露出してしまい、周囲を驚かせてしまうケースが後を絶ちません。
また、足元のフットネイルについても油断は禁物です。「ストッキングを履くから見えない」と思われがちですが、お通夜や葬儀で一般的な30デニール前後の薄手黒ストッキングは、赤や黒などの濃いペディキュアを完全に透けさせてしまいます。通夜振る舞いや法要の席で靴を脱いで座敷に上がる場面もあるため、フットネイルも事前に除光液で落とすか、透けにくい厚手タイツ(ただし喪服では60デニール以上はカジュアルとされる場合があるため、原則はネイルを落とすこと)で対策を講じる必要があります。