インターネット上やSNSでは、肺がんに関する不正確な情報や極端な言説が散見されます。病と対峙する上で排除すべき代表的な誤解を整理します。
第1の誤解は、「ステージ4(末期)と診断されたら手の施しようがない」という思い込みです。確かに完治という言葉の適用は難しくとも、分子標的薬や免疫療法の奏効により、がんと共存しながら通常の日常生活を何年も送る「慢性疾患化」の道が開かれています。
第2の誤解は、「タバコを吸わないから肺がんにはならない」という過信です。扁平上皮がんは喫煙との因果関係が極めて高いものの、前述の肺腺がんは非喫煙者や女性にも高頻度で発症します。受動喫煙や大気汚染、遺伝的要因などが複雑に絡み合っており、非喫煙者であっても年1回の精密検査を怠ってはなりません。
第3の誤解は、標準治療を否定して「民間療法や食事療法のみでがんを治す」という極論に走ることです。科学的根拠に基づいた標準治療(手術、放射線、薬物療法)を主軸に据えずに代替医療へ傾倒した結果、根治可能なタイミングを逸してしまう悲劇は後を絶ちません。著名人の生還事例のすべては、高度な近代医療を愚直に受け止めた上に成り立っています。