青ペンを用いた勉強法を日本全国の受験界へ決定的に普及させたのは、大手予備校である早稲田塾が提唱した「青ペン書きなぐり勉強法」です。当時、現役合格を目指す高校生たちの間で爆発的なブームとなり、関連指導書がベストセラーを記録したことでその手法が定着しました。
早稲田塾式メソッドの根幹は、単に青色のペンを走らせる点にとどまりません。その真骨頂は「使い切ったペンのインク芯を捨てずにすべて透明なプラスチックボトル等に保管する」という強烈な行動設計にありました。自著や受講生の手記でも「積み上がった無数の空芯を見ることで、これだけの量をこなしたという自己効力感が揺るぎない自信に変わった」と回顧されています。
このプロセスは、教育心理学における「努力の可視化」そのものです。人間は漠然とした努力を続けることに耐えにくく、途中で自己効力感が失速してしまいます。青ペンのインクが目に見えて減っていく物理的な変化と、山積みになる空芯の存在が、孤独な受験勉強を乗り切る強力な動機づけ報酬として作用していたのです。早稲田塾の青ペン勉強法が成果を挙げた背景には、色彩の脳科学だけでなく、緻密な行動強化の設計が組み込まれていました。