私たちが街を歩き、ふらりと入った店舗に新刊が並んでいる背景には、極めて精緻な書店流通のサプライチェーンが存在する。長年この動脈を支えてきたのが、日本出版販売株式会社(日販)と株式会社トーハンの取次二大巨頭だ。しかし今、輸送コストの上昇や配本モデルの限界を受け、流通構造そのものが根底から覆りつつある。
AIを活用した需要予測に基づく適量配本や、返品率を劇的に引き下げる新たな取引スキームの導入が進む。出版業界全体が長年抱えてきた過剰供給と在庫ロスの課題に対し、流通の最適化というメスが入った。街の本屋に並ぶ一冊一冊は、以前のような画一的な仕入れではなく、その地域と顧客層に厳密に最適化された選書へと姿を変えている。