西野カナの楽曲が持つ圧倒的なリアリティの秘密は、彼女独自の作詞手法にあります。当時の音楽専門誌のインタビューやドキュメンタリー番組において、本人は自身の作詞プロセスを「友人たちとのガールズトークから生まれたリアルなエピソードの集大成」と明かしています。
彼女は楽曲制作にあたり、自らの恋愛感情を投影するだけでなく、周囲の友人たちに綿密なヒアリングを実施。恋愛の進展状況、LINEの返信速度、深夜の電話で交わした言葉、さらにはその時の服装や空気感に至るまで、まるで調査記者のようにメモ帳(企画書)へ詳細にプロットを書き出していました。
「このままで」に関しても、彼女自身が十代後半から二十代前半にかけて抱いた「近すぎる異性へのもどかしい感情」という実体験の記憶をベースにしつつ、同世代の女性たちがリアルタイムで直面していた生々しい相談内容が色濃く反映されています。だからこそ、誰か一人の個人的な思い出話に閉じこもることなく、数百万人のリスナーが「まるで自分の日記を読まれているようだ」と錯覚するほどの共鳴を生み出しました。