「軽自動車を買ったのにリッター13kmしか走らない。壊れているのではないか」という相談が、ネットの質問掲示板やSNS上で頻発しています。結論から言えば、車が壊れているわけではありません。日本の軽自動車規格とユーザーニーズの乖離がもたらした、必然的な物理現象です。
なぜ近年の軽自動車は燃費が悪化しやすいのか。その根本的な要因は「車両重量の肥大化」と「前面投影面積の増大」の2点に集約されます。
かつての軽自動車は600kg台から700kg台前半が標準でした。しかし、現代のスライドドア搭載スーパーハイトワゴンは、衝突安全基準の強化、電動スライドドアモーター、先進安全運転支援システム(ADAS)のカメラやセンサー、豪華な内装トリムの追加により、車重が950kg〜1,000kg(1トン)超に達しています。排気量は法律で「660cc以下」に厳格に制限されたまま、ボディだけが普通車コンパクトカー並みに重くなっているのです。
さらに、全高1,800mm前後のスクエアな形状は、高速道路走行時に強烈な空気抵抗を受けます。660ccの自然吸気(NA)エンジンでこの巨大な箱を時速100kmで巡航させようとすれば、エンジン回転数は4,000回転近くまで跳ね上がり、ガソリンを激しく消費します。「広い車内でスライドドアの利便性を享受する」という行為は、物理的に「燃料を燃やす宿命を受け入れる」ことと同義です。