新築住宅やリノベーション物件で主流となった人工大理石・人造大理石の洗面台は、従来の陶器製ボウルとは全く異なるメンテナンス基準を要求されます。大手住設メーカーの取り扱い説明書でも、酸性洗剤や強い研磨剤の使用は明確に制限されています。
人工大理石には主に「ポリエステル系」と「アクリル系」の2種類が存在します。賃貸物件や普及型住宅に多いポリエステル系は、耐酸性・耐熱性が比較的低く、pH2以下の強力な酸性洗剤が長時間接触すると、化学反応によって表面が化学変性を起こし、元に戻らない黄色いシミや白濁シミ(酸焼け)を形成します。高級グレードに用いられるアクリル系は耐久性に優れるものの、耐擦傷性に関しては陶器に遠く及びません。
知恵袋や住宅メンテナンスのコミュニティで頻繁に報告される「クエン酸をラップして一晩放置したら輪ジミができた」「メラミンスポンジで磨いたらツヤが消えてマットな白汚れのようになった」という失敗事例のほとんどは、この素材適合性の無視が原因です。人工大理石のメンテナンスにおいては、まず中性洗剤と柔らかいマイクロファイバークロスによる拭き上げを試み、どうしても落ちない水垢には、素材対応が明記された中性または弱アルカリ性の研磨剤クレンザー使い方を厳守して、局所的にテストしながら作業を進めるのが鉄則です。