室蘭の競技シーンを語る上で避けて通れないのが、メイン会場である「日鋼室蘭スポーツパーク(入江運動公園陸上競技場)」の特殊な競技環境です。天然芝フィールドを囲む全天候型ブルートラックは整備が行き届いており、道内でも定評のある施設ですが、現場の選手や指導者に聞くと、一様に口にするのが「白鳥大橋側から吹き込む風」の存在です。
現地での取材および遠征選手の証言によると、海沿いに位置する入江運動公園は、日中から夕方にかけて風向きが急変することが珍しくありません。ホームストレートで追い風2.0メートル以内の絶好のコンディションに恵まれる瞬間がある一方、バックストレートや第4コーナー付近では強烈な向かい風や横風にあおられ、ペース配分を乱されるケースが見受けられます。
「入江は風が味方についてくれれば、100mや200mで驚くような好タイムが出る。でも、風速計の針が公認上限(+2.0m/s)を超えて参考記録になってしまう悔しさも何度も味わった」(地元実業団所属の短距離選手・談)
ネット上の掲示板やSNSでは「入江は新記録が出やすい高速トラックだ」「いや、寒さと海風で記録が狙いにくい」という相反する噂が飛び交っていますが、実態は「風向きの潮目を読めた選手が好記録を叩き出しやすいトラック」というのが実力者たちの共通認識です。特に中・長距離種目においては、集団をうまく使って風圧を避け、ラスト200メートルで仕掛ける戦術眼が不可欠となります。