なぜここまで生活が圧迫されるにもかかわらず、高額な家賃で契約してしまう人が後を絶たないのでしょうか。そこには賃貸市場特有の構造と、賃貸入居審査 年収基準と手取りの真相に関する情報非対称性が存在します。
多くの賃貸物件において、家賃保証会社や管理会社が実施する入居審査の基準は、基本的に「手取り」ではなく「額面年収」をベースに計算されています。一般的な審査通過基準は「月額家賃の36倍以上の年収」(すなわち月収の3分の1以内)です。具体例を挙げると、額面月収25万円(年収300万円)の会社員の場合、不動産業界の審査基準では「家賃8万3000円」の物件まで審査に通過してしまいます。
しかし、額面月収25万円の実際の手取り額は、社会保険料や所得税が天引きされて約19万5000円〜20万円程度です。手取り20万円の人間に対して、保証会社は「手取りの42%」に相当する家賃8万3000円の契約にゴーサインを出していることになります。管理会社や仲介業者は「仲介手数料の増額」や「オーナーへの満室提案」を優先するため、「審査に通る物件=生活に無理がない物件」であるかのように振る舞いますが、これは完全な誤認です。入居審査をパスしたからといって、快適に暮らせる家計が保証されたわけではありません。