なぜ同じ生地でありながら、日本には「コールテン」という独自の呼び名が存在するのでしょうか。そのルーツを紐解くと、明治時代の文明開化期における日本人の創意工夫が見えてきます。
コールテン語源由来は、英語で「畝・コード状の織物」を意味する「cord(コード)」に、ポルトガル語のビロードを指す漢字「天鵞絨(てんがじゅう)」の「天」を組み合わせた造語にあります。当時の人々は、輸入されたコーデュロイの畝起毛を見て「コード状の天鵞絨=コード天」と呼び、それが転じて「コール天(コールテン)」という発音と表記で定着しました。
日本のコールテン綿織物歴史において重要な転換点となったのが、静岡県の遠州(浜松・磐田エリア)での国産化成功です。大正から昭和初期にかけて独自のパイルカッター技術や整理加工技術が開発され、遠州は世界屈指のコールテン産地へと成長しました。
昭和40年代から50年代にかけて、コールテン年代昭和レトロの象徴として大流行を巻き起こします。アイビールックの定番パンツや映画の主人公が羽織るジャケット、さらには温かくて破れにくい子供服の代名詞として、日本人の生活に深く根付きました。
若い世代の間で「コールテン死語」と検索される背景には、平成以降のセレクトショップの台頭に伴い、英語本来の発音に近い「コーデュロイ」への表記統一が進んだという経緯があります。言葉としてはレトロな響きを持ちつつも、素材そのものは時代を超えて受け継がれる普遍的なクラシックピースです。