ネット上の言説には、実務の実態を知らないまま拡散されている誤解が数多くあります。キャリア選択や士業の活用において避けるべき典型的な思い込みを整理します。
最大の誤解は、「複数の資格(ダブルライセンス)を持てば仕事が倍増する」という神話です。例えば行政書士と社労士、あるいは税理士とFPなど、親和性の高い資格を掛け合わせる戦略自体は有効ですが、現場観察で見られるのは「どちらの実務も中途半端な器用貧乏」に陥るリスクです。依頼者が求めているのは各分野の卓越したスペシャリストであり、看板の多さではありません。まず1つの分野で圧倒的な実務実績を築き、その顧客基盤をテコにして隣接領域へ広げるのでなければ、資格コレクターで終わってしまいます。
また、「大手事務所に入れば定年まで安泰」という見方も過去のものです。大規模ファームでは激しい昇格競争があり、パートナー(共同経営者)になれなければ40代前後で独立や他社への転出を迫られる厳しい実力主義が敷かれています。士業の世界に身を置く以上、組織所属であっても「個人の看板で仕事が取れるか」という問いから逃れることはできません。