ロンドンやパリ、シンガポールといった主要都市では無電柱化率が100%に達しているのに対し、日本は東京23区ですら未だ道半ばにとどまる。なぜここまで差がついたのか。最大の障壁は、あまりにも跳ね上がる建設コストだ。
地上に柱を立てて電線を渡す手法に比べ、地下に共同溝を掘削して配電網を埋設するコストは数倍から十倍近くに跳ね上がる。道路1キロメートルあたりの整備費用が数億円規模に達することも珍しくない。送配電網協議会に集う電力各社にとっても、莫大な設備投資を電気料金や公費へ無制限に転嫁することは許されない。結果として、浅層埋設技術や小型ボックスの採用といった「低コスト手法」の現場導入が急ピッチで進められているものの、巨額のコスト負担を誰が背負うのかという議論は常に平行線をたどっている。