野菜の区分を司る根幹には、厚生労働省が定める明確な数値指標が存在する。国の施策である「健康日本21」や国立健康・栄養研究所の指針において、緑黄色野菜の定義は原則として次のように規定されている。
「原則として可食部100gあたりカロテン含有量600μg(マイクログラム)以上の野菜」
この数値は、文部科学省が公表する「日本食品標準成分表」におけるβ-カロテン当量を基準に判定される。1μgは100万分の1グラムという極微量単位だが、細胞の代謝や粘膜保護に不可欠な微量栄養素の境界線として、この600μgという数値が絶対的な防波堤となっている。
ここで特筆すべきは、厳格な数値基準から外れる「例外品目」の存在だ。代表格がトマトとピーマンである。
一般的な生食用トマトのβ-カロテン当量は可食部100gあたり約540μg、青ピーマンは約400μgと、本来の基準である600μgに届かない。それでも緑黄色野菜にカテゴライズされている理由は、トマトの分類基準に「1回の摂取量が多く、食卓に上る頻度が高いため、結果として国民のカロテン補給源として多大な貢献をしている」という公衆衛生上の実態考慮が組み込まれているためだ。単なる形式主義にとどまらず、日本人の食生活の実情を反映させた設計思想がそこにある。