夜明け前の薄闇が青へと溶け出す午前5時30分。旧碓氷峠見晴台には、静まり返った空気の中で三脚を立てるわずかな手練れの姿があった。群馬県側の安中盆地から長野県側の高原へと霧が這い上がり、足下一面に純白の雲海が広がる。この息をのむ絶景に出会えるベストタイムは、前日に雨が降り、夜間に急激に冷え込んだ晴天の早朝、具体的には午前6時から7時前後に集中する。太陽が稜線から顔を出した途端、白い海は黄金色に染まり、やがて気温の上昇とともに霧散していく。わずか30分の自然のドラマだ。
しかし、午前9時を過ぎると旧軽井沢銀座方面からのアクセス道路は自家用車で埋まり、見晴台手前の狭小な駐車スペースは飽和状態に達する。取材班が確認した実用的な混雑回避策は、早朝アクセスの徹底だけではない。あえて軽井沢駅から季節運行されるクラシカルな「赤バス」の始発便を活用するか、旧軽井沢のテニスコート周辺に車を預け、歴史ある「遊歩道(旧碓氷峠遊歩道)」を片道約1時間かけて歩き上がるルートだ。木漏れ日の中を登るこの行程を選べば、駐車待ちのストレスから完全に解放され、体全体で高原の清涼な空気を味わえる。