甲斐と甲州の違いは?歴史の由来から現代の使い分け基準まで徹底検証

甲斐と甲州の違いは?歴史の由来から現代の使い分け基準まで徹底検証

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同一の地域を指しながら2つの異なる呼称が存在する根本的な理由は、日本の行政区分の歴史的変遷と、対外的な文化受容のあり方にあります。

「甲斐」という呼び名は、7世紀後半の大化の改新以降に整備された律令制度に基づく正式な甲斐国 律令国名に遡ります。『古事記』や『日本書紀』にもその原型が見られ、山々に囲まれた「山合い(甲斐)」や峡谷の地形を語源とする説が有力です。すなわち、山梨県全域を包括する公的な地域名称として、千数百年にわたり用いられてきたのが「甲斐」です。

一方の「甲州」は、律令制の国名そのものではなく、甲州 唐名の由来と経緯を辿ると中国・唐王朝の行政制度への憧憬に行き着きます。平安時代中期以降の貴族社会や公家知識層では、律令国名の頭文字に中国風の行政単位である「州」を一文字添えて呼ぶ風習が流行しました。駿河を「駿州」、武蔵を「武州」、信濃を「信州」と呼んだのと同様に、甲斐国も「甲州」という雅称で呼ばれるようになった歴史的経緯があります。

ここで興味深いのが、信州と甲州の呼び方の違いです。長野県の場合、旧国名「信濃」よりも唐名である「信州」が圧倒的に優勢となり、長野県民のアイデンティティや県外へのブランド発信でも信州そばや信州大学のように「信州」が主流を占めています。対照的に山梨県 旧国名の歴史を紐解くと、山梨県では「甲斐」の権威と「甲州」の利便性が互角のまま拮抗し、現代に至るまで高度な併用状態が維持されてきました。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。