絵の具を混ぜているうちに色がくすんで泥のようになってしまう原因は、技術不足ではなく物理現象にあります。混色する絵の具の数が3色以上(白・黒を除く)になると、光の反射率が急激に下がり、必然的に灰色へと近づいていきます。
【濁らない混色のコツと理由】
1つ目のコツは、「混ぜる色数を原則2色(多くても3色)に抑える」ことです。多色を混ぜるのではなく、最初から目的の色相に近い単一顔料の絵の具を選ぶのがプロのセオリーです。2つ目のコツは、「明るい色の中に暗い色を少しずつ足す」こと。暗い絵の具に明るい色を混ぜようとすると大量の絵の具が必要になり、結果として絵の具がこねくり回されて彩度が落ちます。
さらに重要なのが、黒色を使わない暗い色の作り方です。市販の黒(ランプブラックなど)を混ぜると、色は暗くなりますが同時に彩度が一気に死んでしまいます。深みのある「生きた影」を作るには、ウルトラマリン(青)+バーントシェンナ(赤茶色)、あるいはフタロシアニンブルー + クリムゾンといった、濃い補色同士を掛け合わせるのが鉄則です。これにより、光と空気感を含んだ上質な暗色を表現できます。