手足口病は、主にコクサッキーウイルス(A6、A16、A10など)やエンテロウイルス(EV71など)によって引き起こされるウイルス性感染症です。かつては「乳幼児特有の病気」とみなされていましたが、近年の臨床現場では成人患者の受診が珍しくありません。国立感染症研究所などの観測データでも、保育園や幼稚園での大流行に伴い、20代〜40代の保護者世代への二次感染が一定割合で発生している実態が浮き彫りになっています。
一般的に成人は、過去の感染履歴によってウイルスへの抗体を保有しているケースが少なくありません。しかし、手足口病の原因となるウイルスは多岐にわたり、型が異なれば以前の免疫は通用しません。とりわけ近年の流行主流株であるコクサッキーウイルスA6(CA6)は、従来株に比べて発疹が大きく全身に広がりやすい特徴を持ち、大人の初感染時に激しい症状を引き起こす要因となっています。
気になる家庭内での大人の感染確率ですが、感染した乳幼児を看病する親への伝播率は約10%〜20%前後に達すると推定されています。数字だけ見ると低く思えるかもしれませんが、オムツ交換や食事介助で日常的に濃厚接触を繰り返す環境下では、感染リスクは跳ね上がります。「自分は大人だから大丈夫」という根拠のない過信が、感染拡大の最大の温床となっているのが現状です。