どんでん返し映画の歴史を語る上で外せないのが、1990年代後半から2000年代にかけてハリウッドで生まれた洋画サスペンス傑作の数々です。それらは現在もなお、シナリオ作法や演出技術の教科書として世界中のフィルムメーカーに影響を与え続けています。
まず筆頭に挙げられるのが、M・ナイト・シャマラン監督の世界的ヒット作『シックス・センス』(1999年)です。死者が見える少年コールと、彼を救おうとする精神科医マルコムの心の交流を描いた本作において、シックス・センス結末の真相は映画史に残るサプライズとなりました。監督は観客に嘘をついていません。マルコムが妻と会話を交わすシーンを注意深く見返すと、決して二人の間で言葉のキャッチボールが成立していないこと、そして彼が周囲の物理的な環境に一切直接関与していないことが分かります。観客自身の「会話しているはずだ」という思い込みを利用した演出は、極めて洗練された職人芸と言えます。
続いて、ブライアン・シンガー監督による『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)は、脚本賞を受賞したクリストファー・マッカリーによる緻密な構成が光ります。麻薬密輸船の爆破事件で生き残った男ヴァーバル・キントが、謎の犯罪王「カイザー・ソゼ」の伝説を警察の取調室で語る形式をとります。ここでのユージュアル・サスペクツ伏線解説における最大のポイントは、「信頼できない語り手」の極致です。壁の掲示板、コーヒーカップの底、室内にある小道具から即興で嘘の物語を紡ぎ出すキントの語り口は、観客だけでなく捜査官をも欺き、ラスト数分で歩行の異常が正常へと戻る象徴的なカットによって鮮やかに完結します。
さらに、デヴィッド・フィンチャー監督が手掛けた『ファイト・クラブ』(1999年)は、現代社会への痛烈な風刺とサスペンスが融合した傑作です。エドワード・ノートン演じる不眠症に悩む「僕」と、ブラッド・ピット演じるカリスマ的な男タイラー・ダーデン。この二人の関係性を巡るファイト・クラブネタバレ考察は、公開から四半世紀以上が経過した2026年現在も映画ファンの間で熱く議論されています。映画序盤にタイラーが一瞬だけサブリミナル的にインサートされるカットや、公衆電話から折り返しがかかってくるシーンの不自然さなど、映像的・音響的なサインが画面の至るところに散りばめられています。