下味冷凍で唐揚げがまずくなってしまう背景には、食品科学に基づいた明確な理由が存在します。家庭の調理現場で起きている代表的な失敗要因は、主に以下の3点に集約されます。
第一の要因は、「片栗粉や小麦粉をタレと一緒に混ぜて冷凍してしまうミス」です。粉類を肉と一緒に漬け込んで長期間冷凍すると、調味液と肉から出た水分を粉が過剰に吸い込んでしまい、揚げる際に衣が糊(のり)状にネバついて油を大量に吸収します。その結果、外側は油っぽくベチャつき、内部には熱が均一に伝わらず、肉の水分ばかりが抜けてパサパサになるという最悪の悪循環に陥ります。
第二の要因は、「調味料の塩分による脱水現象」です。醤油や塩の比率が高すぎるタレに長時間漬けると、浸透圧の作用によって鶏肉内部の細胞から水分が外へ激しく引き出されます。水分を失った肉繊維は冷凍庫内の冷気によって乾燥(冷凍焼け)を起こし、加熱した際に硬く縮こまってしまうのです。
第三の要因は、「急速な高温解凍による旨味ドリップの流出」です。電子レンジの通常加熱モードなどで一気に解凍すると、肉の細胞膜が破壊され、アミノ酸やジューシーさの源である肉汁(ドリップ)が外へ一気に流れ出します。肉汁が抜けた後の繊維だけを揚げることになるため、仕上がりがパサついて味気なくなってしまいます。