結婚と出産を経た竹内まりやは、1984年、アルバム『VARIETY』でシンガーソングライターとして本格復帰を果たします。このアルバムは当初、外部作家による楽曲を中心に制作される予定でした。しかし、休業中に竹内が書き溜めていたデモテープを聴いた山下が「全曲まりやのオリジナルで行くべきだ」と強く主張したことで方針が180度転換されます。
その中に収められていた珠玉の1曲が、後に世界規模のリバイバルを巻き起こす「プラスティック・ラブ」でした。竹内が紡ぎ出した都会の孤独と刹那的な情愛を描いたメロディに対し、山下は完璧主義の粋を集めたベースライン、カッティングギター、ブラスアレンジを施し、唯一無二のダンスクラシックへと昇華させました。
スタジオにおける二人は、甘えた夫婦の顔を完全に消し去ります。テイクを数十回重ねる山下の執拗なディレクションに対し、竹内もプロのシンガーとして一歩も引かずに応戦する。この健全な緊張感こそが、40年以上の時を経ても色褪せないエバーグリーンな名曲群を生み出す原動力となりました。